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「かっちゃん…どうして…?」
理奈は不思議そうに
勝也を見つめた。
掴んでいた腕を離される。
細い腕には想像出来ない
力強さだった。
いつもの無表情に
冷たさが増しているようだ。
理奈には一瞬、
俯いたその表情が
ひどく哀しそうに見えた。
「もう…いいんだ…」
「え…?」
いつもより低い声だった。
雲が太陽に覆いかぶさり
光がなくなる。
先程まできらきらと
グラウンドは輝いていたのに
辺りは一変する。
それが気分によるもの
なのか判らない。
風が優しく
二人の間を駆け抜ける。
「別に、
判ってたことだから」
理奈に目を合わせずに言う。
先程までの笑顔はない。
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