663人が本棚に入れています
本棚に追加
山の木々は深緑に染まり、
葉の隙間から見える空は
広く、青くすがすがしい。
雲一つない青空には
太陽が天高く昇り、
球児達の肌を
じりじりと小麦色に焼く。
選手達の肌はすでに真っ黒で
時折、笑顔から見える歯は
白く輝いていた。
遠くで蝉が鳴くのが聞こえた。
まだ真夏というには
彼等には早い七月の終わり。
終業式を済ませ、
夏休みになると直ぐに
野球部はとある山に
合宿に来ていた。
理奈達が通う常磐(トキワ)高校は
予選で甲子園出場を掴み、
優勝を目指して強化合宿中だ。
普段でも厳しい練習は
さらに厳しさを増していた。
その練習の厳しさが
彼等に甲子園が近いことを
感じさせた。
最初のコメントを投稿しよう!