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こういう空気は…苦手だ。
気まずい…。
「こんばんは!」
なんて笑って言えないし…
「なんで?」
なんて、更に聞けない。
顔を見合わすあたしと椎名さんに、“タカギ”だけがただキョロキョロとしていた。
「じゃ…じゃあ!」
言葉の見つからないあたしは、手に持っていたタカギの書類を押しつけるように彼に渡し、方向転換した。
「あっ待って!」
呼ばれたような気がしたけど…、あたしは振り返らず走った。
………あたしが逃げる必要も、走る必要もないのに…。
駅について改札を走って抜けると、ちょうど止まっていた下りの電車に飛び乗った。
「はぁ…はぁッ」
なんだか………
ドキドキする。
走ったからとかじゃなくて…
その…………
嬉しかったんだ…。
“タカギ”と話せた…。
話した…。
掴まれた左腕が…
まだ熱い…。
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