好奇心の一歩

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「あれ?……これ…。」 興奮が覚めないままのあたしが、家に着いた時、時間は12時を回っていた。  部屋に入ってバックを開けると、見知らぬ紙切れが1枚、目に入った。  目を通すと、それがさっき“タカギ”が落とした書類のうちの1枚だと気付く。 「………」  あたしはその書類を今度はゆっくり読む。  そこには、なんだかわからない規約みたいな文と、お給料の事が書かれていた。  60分コース、料金18000円 バック……… 「10000円!?」  あたしはその数字に、目を丸くした。  釘付けになる。  〈たった……1時間で……そんなに…もらえるの!?〉  考えられない。  今の仕事じゃ、10000円稼ぐのに二日はかかる…。 それが……たった1時間で…。  生唾を飲む。  紙切れを強く掴んだ。  強い……  好奇心か生まれてくるのを感じた。  そしてあたしは書類の下に、名前を見付けた。  「制作者、大橋店、店長…………  高樹 誠也………。」  タカギ…セイヤ……。  それが“タカギ”のフルネーム。
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