その世界の中へ

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「はい、じゃあ、いいですよ。OK。おつかれさま。」  社長は起き上がって、あたしにやさしく言う。  〈え?〉 「すごく、上手でしたよ。これなら大丈夫!」 〈でも……〉 社長はイッて……ないよね?  なんだか腑に落ちないカンジ。  〈あたしが…ダメだったのかな?〉  俯いていたあたしに、社長は笑いかけた。 「結構キツいんですよ?講習って。」  「え?」  「ほら、これは『講習』。つまり仕事なわけで、こんなになっちゃっても、イッちゃまずいんですよね。」  「………そぅ…なんですか?」  「ツライのわかりますか!?1人でしちゃいますよ?(笑)」  「アハハッ!」  そうなんだ。  そういうもんなんだ。 へぇ…偉いなぁ……。  あ、なんか笑える。  よかった。  とりあえず講習はなんとかクリア……なのかなぁ。 あ、 ってことは………。  tu ru ru ru ru.. 社長のケータイが鳴った。  「あ、高樹くんだよ。」  そう言って社長は電話をとる。  電話を切って、社長があたしを見てニッコリ笑った。  「ありさちゃん、仕事入ったみたいですよ!」  「えッ?」
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