初仕事

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「社長優しい人だったでしょ?」  「………ハイ…。」  「ありさちゃ~ん?」  あたしは高樹さんの車の後部座席に乗っている。 運転席に座る彼の斜め後ろで、あたしは次第に早くなる自分の心臓に手を当てていた。  今は何も耳に入らない。  さっきの社長との講習を、最初から思い出して頭の中でリピートし続けていた。 さっき高樹さんに言われた。  最初の客。  自宅だって。  自宅!?  正直……ホテルがよかった…。 でもきっと、どっちにしてもこの緊張は変わらないんだろう。 住宅街にあるちょっと古めなアパートの前で、高樹さんは車を止めた。
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