すれ違い~揺れ動く心~

2/11
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
「だめだめ!たっくんじゃ気休めにもならなかったよ」 小雪はやっと笑顔を取り戻し笑いだした。 「な、な、なんだよ!その言い方!さっきまでビービー泣いてたくせに!」 「あれは目にゴミが入ったの!」 「目にゴミが入ったくらいで声出して泣くか!」 二人は笑いながら言い合いをしている。二人の笑い声が公園中に響き渡る。 (………………) その時、麻衣には笑顔はなく、少し悲しそうな顔をしていた。 「……麻衣?どうしたの?」 最初に麻衣の異変に気付いたのは小雪だった。 「…ん?なんでもないよ?ただ、ちょっと湯冷めしちゃったのかな…」 (なんであたし嘘ついてるんだろ…?) 「大丈夫!? なんか小雪のせいでごめんね~」 「いいの、いいの気にしないで!」 「あ、あの~」 拓が小雪の後ろから麻衣に声を掛けてきた。 「このダウン貸しましょうか?」 拓は着ていたダウンジャケットを脱ぎだした。 「いや、いいよ!家近いし…」 拓(…………え…) 麻衣(…あたしなんでこんな言い方を…) これが拓と麻衣が出会って初めてちゃんと会話した内容だった…
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!