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「だめだめ!たっくんじゃ気休めにもならなかったよ」 小雪はやっと笑顔を取り戻し笑いだした。
「な、な、なんだよ!その言い方!さっきまでビービー泣いてたくせに!」
「あれは目にゴミが入ったの!」
「目にゴミが入ったくらいで声出して泣くか!」
二人は笑いながら言い合いをしている。二人の笑い声が公園中に響き渡る。
(………………)
その時、麻衣には笑顔はなく、少し悲しそうな顔をしていた。
「……麻衣?どうしたの?」
最初に麻衣の異変に気付いたのは小雪だった。
「…ん?なんでもないよ?ただ、ちょっと湯冷めしちゃったのかな…」
(なんであたし嘘ついてるんだろ…?)
「大丈夫!? なんか小雪のせいでごめんね~」
「いいの、いいの気にしないで!」
「あ、あの~」
拓が小雪の後ろから麻衣に声を掛けてきた。
「このダウン貸しましょうか?」
拓は着ていたダウンジャケットを脱ぎだした。
「いや、いいよ!家近いし…」
拓(…………え…)
麻衣(…あたしなんでこんな言い方を…)
これが拓と麻衣が出会って初めてちゃんと会話した内容だった…
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