第一章 春 ~桜~

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病院のベッドに横たわっていたのは顔面蒼白の彼だった。 脇に駆け寄り彼の手を握った。 「透…?」 名前を呼ぶとうっすらと目を開け、ゆっくり顔を傾けた。 「…美咲。来てくれたんだな」 消え入りそうなか細い声だった。 それを聞いた途端、一気に涙が溢れてきた。 「…ごめんな。びっくりしたろ…?」 彼の言葉に声が出なくて、私は首を横に振った。
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