第一章 春 ~桜~

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「死ぬって分かっていても…彼は最期まで生き抜いたわ」 “透”の生き方に尊敬と若干の嫉妬を感じた。 男の目から見てもかっこいいと思う。 「たぶん私は彼を忘れることはないと思う」 何も言う言葉が見つからない。 彼女の中で“透”は生き続けているのだ。 「…分かった。でも…」 心に強い決意をし、女に向き合って小さい箱を取り出した。 「忘れなくていい。思い出を抱えたまま、俺と結婚してくれないか…?」 一瞬驚いた顔をして、うっすら涙を浮かべながら幸せそうに微笑んだ。
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