第二章 夏 ~雨~

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今でも昨日のように思い出す。 三年前、両親が俺を置いて結婚記念日に旅行に行ったときだった。 帰ってくるはずの時間を過ぎても一向にその気配がない。 雨が降る中、両親の帰りを待っていたそのとき一本の電話が入った。 両親からだと思って出ると、近くの病院からだった。 急いで駆け付けたそこには、傷だらけの両親が横たわっていた。 頭には包帯が巻かれていたが、母親は既に息を引き取っていた。 かろうじて父は生きていたが、医者の話によるとその夜が峠だった。
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