Myself Yourself

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先輩の胸に顔を埋める。 「ど、どないした!?」 あからさまな動揺。 ちょっとだけ微笑ましかった。 「ねぇ…先輩」 隠すだけ無駄…きっとバレてしまう。 それなら、さっさと聞いてしまった方が。 「何も言うな」 「え?」 先輩が突然真面目な顔に変わった。 「お前…気付いとったんやろ?」 ホント、この人には何も隠せない。 「……はい」 はぁ、と小さく溜め息をつく。 「俺、な……」 言いづらいのか、一度深呼吸してから遠い空を仰いだ。 「時間…無いねん」 「時間?」 「そや、ここに居られる時間が……」 私には理解出来なかった…先輩の言葉が。 でも…ここに来た理由、何故先輩に会いに来たのか…それを思い出して絶句した。 「嘘…ですよね?」 慌てて頭を横に振る。 そんなハズ無い。 現に先輩は普通の生活を送ってるし、時折見せる表情以外に違和感は無かった。 そうだ、単に私が勝手に推測しただけなんだから…先輩がいなくなるなんてありえない。 「答えてくださいよっ!!」 思わず叫んでいた。 それでも…先輩の返事は無い。 真面目なままの顔…どころか、あの悲しげな表情だった。 「落ち着きぃや……」 「無理に決まってるじゃないですか!!」 先輩の腕が私の背に回る。 「……お前には…知られたくなかったんやケドな」 私は自然と泣いていた…先輩の胸で。
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