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カラオケ前で夏美と加奈がきゃっきゃっと話している姿を見つけて「お疲れぇ」と声をかけた。 「麗子、遅い~」 夏美が冗談っぽい口調で怒った。 白のファーショートコートに柄の入った黒のミニワンピ、エンジニアブーツを合わせる夏美はさすがショップ店員と言わせるようなお洒落ぶりだ。 「まだ5分あるしね。麗子、久しぶり」 加奈がにっこり笑っていた。 白のAラインコートに身を包んだ加奈は小柄な体型のせいかいつもより可愛く見える。 二人に比べ、あたしはオフィスカジュアルの目立たない格好が気になった。 仕事帰りだし、仕方ないか。 今まで合コンに参加した事は何度もあるけれど、いいなと思う人はほとんどいなかったし、たまにいても友達止まりで終わってた。 そんなあたしにとって合コンはその場だけ楽しむものになっていたので、すぐに諦めもついた。 夏美と加奈は高校の時のクラスメートで、当時よく遊んでたというわけでもない。 夏美は席が近くてよく話す事もありたまに遊んだりしてたけれど、加奈は席も遠かったしあまり話す事もなかった。 そんな合コンに来たのも気晴らし程度にしか考えていない。 日頃の疲れを忘れさせてくれるのなら何でもよかった。
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