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「遅れて、ごめん」
そこに三人の男が現れ、一人が声を掛けてきた。
あたしは厭らしくないように、素早く三人をチラ見した。
そんな気がなくても、とりあえず見てしまう自分に可笑しくなる。
だが、そんな事はすぐにどうでもよくなった。
夏美と加奈が声を掛けてきた男と話しながら動き出す。
その後ろを着いて行きながら、視線はある方へチラチラと流れた。
まだ会話すらしていないのに、彼を見ると思わず顔が綻んでくる。
茶髪で犬っぽい顔つきはどちらかというと、ジャニーズ系。
身長もそんなに高くないけど、気にならない。
他の二人がスーツでスマートに歩いているのに対し、彼は作業着で堂々と歩いていた。
その時、可愛く見える外見とのギャップを感じた。
なんて男っぽいのだろう…。
人には好みのタイプがある。
スーツよりも、現場系の作業着を着てる男がいいとか、可愛い系よりもイカツイ系が好きだとか。
あたしは外見に対して特にこだわりはない。
じゃあ、なぜ彼に惹かれたのか…
わからない。
ただ、作業着で男っぽくがに股で歩く彼が格好良く見えたのだ。
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