ホワイトデーとオレ

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映画が始まると勉強疲れのまゆはすぐに半分ウトウトしはじめる。 膝の上に置かれた手にちょっかいをかけると始めは握り返してくれていたが、一時間たもすると握力を感じなくなった。 マユが完全に寝込んだのか、オレが映画に集中したためかは定かではない。 「男の子がこーゆー映画好きって何歳になってもかわらないンだね。」 寝起きのマユが興味なさげに言う。 「こーゆーって?」 「宇宙人とかバトルとか。」 「男のロマンだよ。あと、車とか銃撃戦もね。」 「手に汗握ちゃったうほど?」 汗?…ホントだ。ぎとぎとだ。 「っふ、女にはわかるまいっ。」 銃、車、宇宙、戦いは男心をくすぐるに決まっている。 オレに限れば黒髪ストレートには心を鷲掴みにされる。 「わっかんないデース。」 まゆは寝癖の髪を簡単にととのえる。 すぐにきれいなストレートに戻った。触りてーぇ、アタマ撫でてぇ。
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