不格好なトリュフ

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それほど硬くない小さな箱は、潰れて奥に入り込んでいく。 そのまま椅子にもたれかかると ぼんやりと天井を見上げた。 あぁ、ふられたんだな。 改めて思い返すと、やっとむなしさがこみあげてきた。 けれど、それはむなしさであって 悲しさでも ましてや 切ないなんてものでもなかった。 脱力感。 涙もでてこない。 そんな程度の恋愛だったのかと、自分でも少しびっくりした。 今思えば、ただの憧れだったのかもしれない。 彼は、クラスでも目立つ存在で、好きになったきっかけもよくわからないまま、他の女子と騒いでいた。 かっこいいね。 とだけしか言ってなかったような気もする。
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