1人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
片桐は鞭を携え、丸太に近寄っていく。鞭の射程内に入ると、片桐は鞭を構えた。
「上手く振れるでしょうかね…」不安な面持ちの那樹は、片桐に聴こえない大きさで、独り呟いていた。隣にいる男も那樹と同じ面持ちで、片桐を見ている。
ビュンと片桐は鞭を振った。それはどちらかと言えば、鞭に振られている様な感じだった。 案の定、目標を失った鞭は、片桐の鞭を持つ腕を襲った。
「ぐッ!!」
鞭の打撃を腕に受けた片桐は呻きを挙げ、鞭は片桐の手中から飛び出した。
丸太が片桐の失態を鼻でわらったのを、男が顔面を殴り制した。
「大丈夫ですか?」那樹は、腕を押さえる片桐の元へ駆け寄る。傷は深くないが、出血していた。
「ああ。痛むが、大丈夫だ。こういうのは、コツとかあるのか?」
「はい。手首で振ろうとするのではなく、腕全体と体を使って振れば、しっかりと打てます。一応医務室に行きましょう」 那樹と片桐は、医務室へ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!