はじまりの日

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突然のどしゃ降りの『雨』 佑湖はそんな雨の中を傘もささずに走っていた   何しろ天気予報では一日中『晴れ』と言っていたのだが その予報が外れ急に降ってきたのだから傘を持っているはずがない        「…っはぁ;;早く帰ってシャワー浴びて…」         一人ぼそぼそと呟きながらロビーの自動扉の前で佑湖が部屋の鍵を探していると       〈ガサガサッ!〉       自動扉近くの花壇で何かが動き、 それに反応した佑湖は振り返り花壇の方へと歩み寄る         「…?」         ゆっくり見渡すが何もなく 風邪のせいだと思い込みまた自動扉の方へ戻って探し出した鍵で、自動扉のロックを解除して佑湖が入ろうとした時だった       〈スリ…〉       「きゃぁ!?」         佑湖の足元で何かが動き直ぐ様そこから退くと佑湖がいた場所に一匹の猫が座っていた         「ね、猫?」   『にゃー…』         見るかぎり猫はこの雨の中を歩いていたのだろう全身びしょ濡れで震えていた         「…おいで?」          しゃがみ込み猫を呼ぶと怖がる事もなく近づいていき差し出された手に擦り寄った         「うわぁ、ずぶ濡れだ…って私もか」         佑湖が笑ってそれに答えるかのように猫は喉を鳴らす         「君捨てられたの?…家来る?」         そういって佑湖は猫を抱き上げロビーを抜けて自分の部屋にむかった     .
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