20人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
「はい、どうぞ」
「…真っ黒」
私の朝食を見てそう呟く
「あー、ちょっと考えながらやってたから焦がしちゃって;;」
苦笑いしてその真っ黒目玉焼きを食べようとしたら
スルリと彼がお皿を持ち上げた
「どうしたの?」
「俺が食べる」
「え!?いいよ;;私が食べるから君はこっち!」
真っ黒目玉焼きのお皿を彼から取るとキレイに焼けている目玉焼きを差し出す
「いいから!俺が食べる!!」
「あぁ!!」
また私からお皿を取ると彼はそのまま真っ黒目玉焼きを口に入れた
「…苦い」
「当たり前でしょ!ほら、飲んで?」
コップに牛乳を注ぎ差し出すと一気に飲み干した
余程苦かったんだろうな;;
「はい☆」
彼はキレイに焼けた目玉焼きを私に差し出した
「え、あ、…いいよ食べて?」
「でも…」
「美味しくないのに食べてくれたお礼」
笑って彼からお皿を取りまた彼の前に置くと困った顔が一瞬にして綻んだ
そして、目の前で手を合わせて「いただきます」と言って私があげた目玉焼きを食べ始めた
可愛いなぁ、なんて和んでいたがよく考えてみれば彼は誰だ?
今までの会話で話を聞くのをすっかり忘れている
この際はっきりさせようと私は彼に話を切り出した
「ねぇ?」
「ん?」
口をもごもごさせながら私の方に振り向いた
「貴方は誰?」
.
最初のコメントを投稿しよう!