白鳳雄也

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「……楽しかったか?」 雄也の問いにネルは首を縦に振る。 「うん」 「………」 続かない会話に雄也はため息をつく。 「………俺の何が嫌だ?言ってみろ……」 「ママ……寂しくさせるから」 うつ向き加減にネルが答えると雄也は意外そうな顔をした。 「それだけ?」 頷き、ネルが雄也を睨む。 「休みの日くらいママといて……」 「休みの日くらい、か……。ネル、俺だって好きでそこらを行ってんじゃねぇ。分かるな?」 首を横に振るネル。 「そっからか……。 俺が家に居る時、何してる?」 「眠ってる」 即答したネルに雄也は物悲しさを覚えた。 「他に」 「……ギター」 「他には?」 首を傾げるネル。 「とりあえず、体を休めてるのは分かるな?休憩だ、休憩。 で、俺がそういうのが好きなのも分かるな?」 これには頷くネル。 「わざわざこれ潰して外に行ってるんだ。やりたくてやってる訳じゃないのも分かるな?」 さらに頷くネルに雄也はやっと安堵の息を吐く。 「だから、仕方ないんだ。……これからは、ちったぁ減らすからあんま俺を嫌うな。お前は俺の息子なんだ」 「うん……」 ネルが頷くと雄也はネルに自分のサングラスを渡した。 「……やるよ。約束の証だ」
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