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「宗司、発想1つで売れ行きは変化するから頑張って」
潤が言って宗司を突き放す。
「太朗たちは?」
雄也が時計を見ながら尋ねた。とっくに集合の時間を過ぎている。
「太朗は亮を迎えに行ったきりだ」
宗司が答えると、控室に亮と太朗が入ってきた。
「すみません、遅れました……」
「大丈夫だよ、時間はあるから。じゃあ、ミーティングやろっか。曲は時間が許す限り何曲でもやるよ」
潤が仕切り始めた。このバンドのリーダーは潤で、同時に今回のことも潤が発案していた。
「で、何日か前に送ったスコアは見た?」
「これか?」
雄也がA4の紙に印刷されたスコアの冊子を出して尋ねた。
「うん、それ。ちゃんと皆やってきたよね?」
その問いかけに一同が頷いた。
「ねぇ……潤」
亮が口を開いた。
「何?」
「今日のドラムは暴れてもいいの?」
やる気を感じさせる問いかけ。亮のいう暴れるは本当に暴れている感じで激しいプレイになるのはその場の全員が分かっていた。
「いいよ。曲調を壊さない範囲内で。他の皆もそう、好きに暴れていいけど曲調を壊さないでね」
潤が笑顔で言った。
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