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「あらかた京都は回ったねぇ……」
車内で亮が言った。
「他に何かあったか?」
雄也がハンドルを指で叩きながら言う。
「小さな寺とかならたくさんあるけどねぇ……」
「じゃあ帰るか?」
言って雄也がエンジンをかける。
「そうだ、雄ちゃん。ユニバーサルスタジオジャパン行こ」
閃いて亮が言った。その言葉に誰より反応したのはネルだった。
「行きたい!」
「あぁいうのは好きじゃねぇんだよ………」
忌々しく雄也が呟くが、亮がそっと耳元で囁いた。
「ネルちゃん、行きたがってるよ?」
「………だってよ――」
「そのうち、手がつけられなくなっちゃうよ?」
言いかけた雄也の言葉を遮って亮がさらに言った。
「………行きゃあいいんだろ、行けば」
舌打ちしてから雄也は言って亮に地図を押しつける。
「カーナビねぇからお前が教えろ」
「仕方ないねぇ……」
呟いて亮は地図を開いた。
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