白鳳雄也

18/21

659人が本棚に入れています
本棚に追加
/138ページ
「あらかた京都は回ったねぇ……」 車内で亮が言った。 「他に何かあったか?」 雄也がハンドルを指で叩きながら言う。 「小さな寺とかならたくさんあるけどねぇ……」 「じゃあ帰るか?」 言って雄也がエンジンをかける。 「そうだ、雄ちゃん。ユニバーサルスタジオジャパン行こ」 閃いて亮が言った。その言葉に誰より反応したのはネルだった。 「行きたい!」 「あぁいうのは好きじゃねぇんだよ………」 忌々しく雄也が呟くが、亮がそっと耳元で囁いた。 「ネルちゃん、行きたがってるよ?」 「………だってよ――」 「そのうち、手がつけられなくなっちゃうよ?」 言いかけた雄也の言葉を遮って亮がさらに言った。 「………行きゃあいいんだろ、行けば」 舌打ちしてから雄也は言って亮に地図を押しつける。 「カーナビねぇからお前が教えろ」 「仕方ないねぇ……」 呟いて亮は地図を開いた。
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

659人が本棚に入れています
本棚に追加