659人が本棚に入れています
本棚に追加
/138ページ
3日目、京都。
いつもの様にホテルで亮が目覚めた。
「………ふぁ~あぁ……」
大きな欠伸をして時計を見ると7時を回った頃だった。
「雄ちゃん、朝だよ」
目を擦りながら雄也を揺さぶる。
「ん……分かった……」
寝返りをうち、雄也が生返事をする。
「さてと……」
立ち上がって亮はカーテンを開けた。朝日が差し込む。
「たっちゃん、帰るから起きな。ネルちゃんも」
子供達の布団を矧がして亮が言うが、辰也は無反応のまま寝入っている。
ネルはちゃんと体を起こすが、ぼーっとしている。
「皆、朝には弱いねぇ……」
苦笑いしつつ亮は雄也のギターケースを持ってきて雄也の布団のすぐ側に置く。
「雄ちゃん、ギター弾いて」
むくり、と雄也が体を起こしてギターへ手を伸ばす。眠そうな瞳で、でもしっかりギターのチューニングをしピックを取り出して弾き始めた。
「………つか、何で朝からギター……」
少し弾いた所で雄也が呟いた。しかしギターは弾き続けている。弾いているのはBorderLessの楽曲だ。
「おはよ、雄ちゃん」
「………ふざけた名前で呼ぶな」
最初のコメントを投稿しよう!