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「先輩、他の児童も食べるんですからあんまり意地悪しないで下さいよ」
小声で太朗が言う。
「大丈夫だって。他の子のをよそる時におたまで小さく切っちゃうから」
「そうですか……。どうぞ、ご自由に」
呆れながら太朗が言う。
「先生、それ酷いよ!」
「相手が先輩じゃあ……ちょっと」
言って太朗は他の所へ行ってしまった。
「太朗の料理は破滅的だから食べちゃダメだよ、たっちゃん」
「破滅、的?」
「そ、ずっと前に一口食べた事があるんだけどとてもこの世の物じゃないと思えたから」
そう言う亮のすぐ背後から太朗が顔を覗かせた。
「先輩、教師としての威厳を無くさせないで下さい」
「あー、はいはい」
返事をすると太朗は大人しく今度こそ他の所へ行った。
「太朗も今や立派な先生だね……」
口元を緩めて亮が呟いた。
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