八神辰也

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「ただいまー。たっちゃん作文読んでたよー」 帰宅し、亮が由美の布団の側に腰を下ろした。 「お帰りなさい。嫌われなかった?」 「どうだろ?好かれてるのか嫌われてんのかよく分かんないよ……」 言って亮が空になっている食器を台所に運んだ。 「ねぇ、亮?」 「何?」 食器洗いを始めた亮に由美が声をかける。 「あのね、このあいだ知ったんだけどね」 「どしたの?」 食器洗いをする手を止めて亮が由美の方を向く。 「赤ちゃん……出来たみたいなの」 少し顔を赤らめ、由美が言った。亮が目を見開いて瞬きを何回かする。 「嘘ぉ……?」 「ホントに……」 少しの沈黙が生まれ、亮が由美に歩み寄る。 「由美……産める?産めるなら、俺……その気になっちゃうよ?」 「産みたいの。いい?」 由美が尋ね返し、亮がとびきりの笑顔を作る。 「由美、大好き」 ぎゅっと抱きしめて亮が嬉しそうに言った。
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