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「何これ!?」
辰也が驚いたのはその豪華さと量だった。最近は肉の少ない安上がりで手も抜かれた食卓だったのがまるっきり変わっている。
「晩御飯は豪華になるって言ったでしょ?」
食卓にはサイコロステーキとグリル野菜。それにオニオンスープに刺身の盛り合わせや海鮮天ぷらもある。
「豪華ってレベル、なの……?」
「パパが本気出せばざっとこんなもんだよ」
得意気に亮が言う。
「何かあったの?」
「たっちゃんが嬉しい事言ってくれたでしょ?それに、何と家族が増えちゃうんだよ!」
後者の方が大きい理由だろう、と冷静に辰也は考えた。
「たっちゃん、いっぱい食べていいよ」
「うん、いただきます」
辰也が食事を始めると由美もフォークを手に食べ始めた。
「お父さん食べないの?」
サイコロステーキを食べながら辰也が尋ねた。
「ちょっと最近胃もたれしててねぇ」
刺身にはしを伸ばして亮が答える。
「ふーん、じゃあお父さんの貰っちゃお」
そんな食事を亮は楽しんでいた。こんな時間が幸せなんだと亮はそっと噛み締めたのだった。
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