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「お前ら、あんま遊んでんな」
雄也が3人に言った。少し棘のある言い方だ。
「あ、雄ちゃん。善いるよ」
亮がスティックで雄也の息子の方を指した。そこに明るい笑顔の光る青年がいた。年は二十歳を過ぎたくらいだ。
「……俺には関係ねぇ」
「いや、先輩の家族ですから」
やんわり太朗が言うと雄也は罰の悪そうな顔をして小さく舌打ちした。
「どうでもいい。……潤、準備出来たから始めていいぞ」
マイクの前で何故か手品をしていた潤に雄也が言った。
「はいよー。じゃあ1曲目、俺が雄也と初めてやったオリジナル曲!“風の通り道―スペシャルバージョン”!」
潤が言うと、いきなり雄也のギターソロが始まった。スイープを多用して雄也の凄まじいまでの技術が音となって駆け巡る。
それに付き従う様にベースとドラムが音を出し、音が薄くならない様に宗司のキーボードが広がりを持たせていた。
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