数十秒の奇跡

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下校時刻が迫る… けど、今の僕達には関係が無い。  僕らは三人で部室を荒らしていた。この場合の荒らすは、盗んだり散らかしたりしてる訳じゃなくてサイフ捜索。 協力的だろ。実際は元凶の親の合流によって帰るタイミングが無くなっただけの話なのだが… でも、頼まれて断る程悪人でもないから当然の流れだっただろう。  まぁ、そんな訳でサイフ捜索中の三人。普通なら僕・事の元凶・後一人に決まっている。しかし、この三人は部長・会計(書記じゃ無い)・平部員の僕だ。  事の元凶はサイフを捜索はせずに事情聴取にきた先生の前で 「数十秒の間に盗られるハズないし、数十秒の間…」  とぶつぶつ吐露している。ちなみに盗られるまでの経緯は全て話し終わっている。完全な被害者アピールだ。 なら捜せよって思っただろ?僕もそう思う。最もな意見だ。  さすがに自分の子だけサイフを捜索していないのはマズイと感じた元凶の親はサイフ捜索をするように促す。親はゴミ袋の中を確認しにいく途中だった。  しかし相手は被害者ぶる加害者、この程度のことには動じず 「ゴミ箱に入れた記憶なんて無いし。」  とだけ言って被害者アピールに戻る。その顔には《俺可哀相な被害者》て書いてある。 先生ももう被害者アピールには飽きたのだろう。バスケ部と話していた。手伝えよ、先生だろ。
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