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そんなこと考えてたら、また華苗の顔が近づいてきて、唇が重なる。
触れるだけのソレは、とても複雑な気持ちにしてくれる。
華苗はまた、こっちをちらちら見て、しょぼくれた顔を見せる。
素直な気持ちが顔に出るの、華苗の美徳だけど…なんかやだ。
「ゆずちゃん…あたしとちゅーするの嫌い?」
「別に。なんで?」
「だって、ゆずちゃんキスした後いっつも嫌そうな顔するもん。」
あーそれ素っていうか真顔だから。
「あたし、ちゅーした後、こい、友達と笑いあうの夢だったのに…」
…ふぅん。
私の中の、何かは吹っ切れた。
やっぱり友達なんだ。
「じゃあもうやめよ。」
「え?」
「私、そんな気持ちで華苗とキスすんの嫌。」
そのままさっと身だしなみを整えてカバンを持って立ち上がった。
「私帰る。お邪魔しました。」
「待って、ゆずちゃ」
「ばいばいっ!」
そのまま、飛び出すように華苗の家を出た。
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