キスした

3/5
59人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
そんなこと考えてたら、また華苗の顔が近づいてきて、唇が重なる。 触れるだけのソレは、とても複雑な気持ちにしてくれる。 華苗はまた、こっちをちらちら見て、しょぼくれた顔を見せる。 素直な気持ちが顔に出るの、華苗の美徳だけど…なんかやだ。 「ゆずちゃん…あたしとちゅーするの嫌い?」 「別に。なんで?」 「だって、ゆずちゃんキスした後いっつも嫌そうな顔するもん。」 あーそれ素っていうか真顔だから。 「あたし、ちゅーした後、こい、友達と笑いあうの夢だったのに…」 …ふぅん。 私の中の、何かは吹っ切れた。 やっぱり友達なんだ。 「じゃあもうやめよ。」 「え?」 「私、そんな気持ちで華苗とキスすんの嫌。」 そのままさっと身だしなみを整えてカバンを持って立ち上がった。 「私帰る。お邪魔しました。」 「待って、ゆずちゃ」 「ばいばいっ!」 そのまま、飛び出すように華苗の家を出た。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!