キスした

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次の日から、あからさまに華苗に避けられるようになった。 そのくせ、こっち意識してるのはバレバレ。 ちらっとこっち見て目があったら慌てて顔をそらせるってどこの恋する乙女かってぐらいの素振り。 赤面してるんじゃなくて泣きそうな顔だから、そんなつもりじゃないのもわかってるんだけど。 もともと、華苗は人にべたべたくっつきたがってたからそれがなくなったのはまわりにすぐにわかったらしく。 「柚希ちゃん。」 「あぁ、亜矢。」 「最近元気ないけど大丈夫?」 昼休み、見かねたのか亜矢にそう聞かれた。 「大丈夫…たぶん。」 「たぶんってなによー」 くすくす笑う亜矢。 裏なんかなさそうな笑顔を見てると、なんだか癒される。 「…ま、柚希ちゃんが元気ならいいや。」 亜矢は、昼休みだというのに机につっぷしたままの華苗の方を見た。 「華苗ちゃんも、元気ないよね。」 「…そう?」 「柚希ちゃんのが詳しいんじゃない?」 そんな不思議そうな顔しなくても… 内心、かなり焦る。 「えと、あんまり意地張ってると、盗られちゃうよ?」 「何の話?第一盗るとか盗られるとかそういう問題じゃないでしょ。」 「ま、柚希ちゃんがそう言うならいいけど。」 苦笑する亜矢。 次の時間は体育。 昼休みもあと10分くらいで、みんな移動し始めてる。 華苗もやっと起きてきて、伸びして、移動の準備を始めた。 で、またこっちちらって見て…あ、視線そらされた。 言っとくけど、うちだって華苗のこと好きなんだからさーそんな態度取られたら傷つくワケ。 …そういえば、亜矢が盗られるとかなんとか言ってたよなぁ。 アレ、誰か華苗のこと狙ってる奴知ってるのかな? そりゃ私と華苗は女の子同士でただの友達で、何か言える立場じゃないけど、でも… このまま、曖昧なまま、半端に華苗のキスを知っただけで終わるのは嫌。 先を知れなくても、互いに後味が悪いまま嫌な思い出で終わるとか絶対やだ。 …もうさ、突撃して玉砕しちゃっていい?
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