窓の外

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ドアをノックする音と共に看護師さんが入ってきた。  「甲賀 健流(こうが たける)君、お熱計りましょうか。」 脇に体温計を挟み、指には血液中の酸素濃度を計る機械を装着し、血圧も測定する。 これが毎日4回位の「日課」となっている。 その内の2回は注射を含むけど 数えきれない位、身体のあらゆる部位に射されてきたから、もう慣れっこだ。 血圧を測りながら看護師さんが 壁のカレンダーを見て 「今日から夏休みだねぇ。宿題とか解らない所があったら手伝ってあげるよ?数学と理科だけは得意だったからね。小学校レベルなら安全圏よ。」 数学と理科以外でも小学生の宿題が解らなかったら大人としてどうよ? とか思ったせいか 「どうせ外で遊ぶ事もないし、時間は今までどおり沢山あるから一人でやりますよ。」 と、ちょっと冷たい感じに言ってしまった。 「相変わらず落ち着いてるわねぇ。本当に 11歳なの?サバ読んでんじゃない?」 聴診器で僕の胸の音を聴きながら看護師さんは笑ってる。
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