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「最近ずっと体調が良いみたいだし、外出許可も取れると思うわよ?このまま順調なら夏休みが終わるまでに退院も出来るからね。」
看護師さんが病室を出てから何気にテレビをつけてみた。地元のローカル番組で病院の近くの神社を中継している。
「本日は此処、千歳神社(ちとせじんじゃ)で毎年恒例の夏祭りが開催されます。徐々に出店が立ち並んできており、祭らしい雰囲気に私も心浮かれてまいりました。千歳神社の神主さんにお話しを聞いてみましょう。…」
テンション高めのアナウンサーと神主の話しを聞きながら、「この病院のすぐ近くかぁ…道理でいつもより賑やかなんだ。」とか思いながら、ぼーっとテレビ画面を眺めていると見た事ある顔がアナウンサーの後ろを横切った。
「愛星(あきら)じゃないか?今の…。まだ昼過ぎなのに祭に行くなんて、相当物好きだな」
愛星は建流の幼なじみの女の子。男勝りな性格で落ち着きが無く、建流の入院中も度々お見舞いに来てはマシンガントークをぶっ放し満足して帰っていく。
「アイツ、今年も夏休みが終わるギリギリまで宿題せずに遊びまくる気か?」
ゴンゴンッ
重たいノックの音と共に息を切らした愛星が病室に入ってきた。
「ちわっ!元気?!」
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