窓の外

6/6
前へ
/8ページ
次へ
「だって…シュワシュワしてる 鼻水…初めて見た…ククク…。」 病室だから大声で笑うのを堪える。 愛星は、恥ずかしさと 炭酸飲料が鼻に入った痛さで 顔を赤くしながら本題に入った。 「あ…あのさ、外出許可取れない? 一緒に祭行こうよ。」 健流は可笑しさを押さえ込んで ふぅーっと、一息ついてから答えた。 「外出許可ねぇ…。看護士さんの話しだと、取れそうな事は言ってたけど。」 愛星は目を輝かせてニカッと笑った。 「じゃあさ、頼んでみてよ!もし、体調が悪くなっても病院のすぐ近くなんだし。」 安易な台詞に間髪入れずに突っ込む。 「馬鹿タレ!体調が悪くなったら、退院が遠退くじゃないか。」 「そしたら、 毎日お見舞いに来るからさ!にひっ。」 はにかみつつ、愛星も間髪入れずに返してきた。 ここだけの話し、健流は愛星の可愛い はにかみに弱いのである。 「ん~…まぁ、久しぶりに外の空気を吸いたいけど…。」 沈黙の間もなく 愛星の暴走発言が飛び出す。 「じゃあ、アタシが聞いてきてあげる! 担当の先生なんて名前だっけ!?」 (コイツの暴走発言には慣れているけど 有言実行するから時々困る。) 「待て待て。オレが自分で聞いてくるから大人しく、ちゃんこ(お座り)しとけ。」 「ちゃんこなんて、してらんないわよ! アタシもついて行く!そんで、外出ダメだって言われたらボディーブローかましてやるんだから!」 「分かった。分かったから。ボディーブローはすんなよ。入院クビになったらどうすんだ。」 愛星は健流を指さしながら笑う。 「アハハッ。クビとかウケるし!」 「笑い事じゃねぇっつぅの!!いいか!?大人しくしとけよ!?」 愛星の頭をペチンと叩いた。 愛星は、わざとらしく舌を出して 「はーい。ボディーブローはしませ~ん。」 と、中途半端な返事をすると 残っていたジュースを飲み干した。 健流はそれを見て、鼻からシュワシュワを 思い出して「プッ」と小さく笑う。 「何、笑ってんのよ。」 口からジュースをこぼしかけながら 突っ込む愛星を見て、もう一度小さく笑った。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加