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「だって…シュワシュワしてる
鼻水…初めて見た…ククク…。」
病室だから大声で笑うのを堪える。
愛星は、恥ずかしさと
炭酸飲料が鼻に入った痛さで
顔を赤くしながら本題に入った。
「あ…あのさ、外出許可取れない?
一緒に祭行こうよ。」
健流は可笑しさを押さえ込んで
ふぅーっと、一息ついてから答えた。
「外出許可ねぇ…。看護士さんの話しだと、取れそうな事は言ってたけど。」
愛星は目を輝かせてニカッと笑った。
「じゃあさ、頼んでみてよ!もし、体調が悪くなっても病院のすぐ近くなんだし。」
安易な台詞に間髪入れずに突っ込む。
「馬鹿タレ!体調が悪くなったら、退院が遠退くじゃないか。」
「そしたら、
毎日お見舞いに来るからさ!にひっ。」
はにかみつつ、愛星も間髪入れずに返してきた。
ここだけの話し、健流は愛星の可愛い
はにかみに弱いのである。
「ん~…まぁ、久しぶりに外の空気を吸いたいけど…。」
沈黙の間もなく
愛星の暴走発言が飛び出す。
「じゃあ、アタシが聞いてきてあげる!
担当の先生なんて名前だっけ!?」
(コイツの暴走発言には慣れているけど
有言実行するから時々困る。)
「待て待て。オレが自分で聞いてくるから大人しく、ちゃんこ(お座り)しとけ。」
「ちゃんこなんて、してらんないわよ!
アタシもついて行く!そんで、外出ダメだって言われたらボディーブローかましてやるんだから!」
「分かった。分かったから。ボディーブローはすんなよ。入院クビになったらどうすんだ。」
愛星は健流を指さしながら笑う。
「アハハッ。クビとかウケるし!」
「笑い事じゃねぇっつぅの!!いいか!?大人しくしとけよ!?」
愛星の頭をペチンと叩いた。
愛星は、わざとらしく舌を出して
「はーい。ボディーブローはしませ~ん。」
と、中途半端な返事をすると
残っていたジュースを飲み干した。
健流はそれを見て、鼻からシュワシュワを
思い出して「プッ」と小さく笑う。
「何、笑ってんのよ。」
口からジュースをこぼしかけながら
突っ込む愛星を見て、もう一度小さく笑った。
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