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冷蔵庫を閉めた。冷蔵庫は閉めきり。部屋に戻ろうと向きを変えた瞬間。包丁が目に止まった。まだ洗われていない。刃先に何かを切った痕が乾燥してそのままの状態で放置されている。リビングから聞こえてくるテレビの音。最近多発する少年犯罪の件について。ニュースだ。今、2つの選択が頭の中で浮かんでいる。母がこちらを振り返り、何してるの、と言っている。暇つぶし、と答えた。最近の子供って何考えてるかわからないは。すぐ殺すんだもん。しかも家族だよ。両親が子供殺すケースだってあるわよね。最近の世の中は物騒で理解できないわ。と母は言っていた。悟られたか。勘がいい。いや、違うか。その偶然が、誤った道と逆方向へハンドルをきらせた。選択は終了した。包丁からふと目を逸らすと同時に顔を上げると鏡があった。自分の存在。顔を見ると生きている事が。ハッキリする。時々、存在は曖昧になる。だからしきりに顔を見ないと落ち着かない事がある。ナルシスト。笑ってみせる。ガチャガチャの黄ばんだ歯。目の下に溜まったくま。ニキビだらけのホッペタ。手入れが中途半端の眉毛。さっきから何してるの。母も鏡に映る。2ショットだ。暖かい頬が当たる。だけど冷たい優しさ。罪だ。嘘だ。そしてリビングからスタスタと、母を振り返りもせずに廊下へ出て、階段をゆっくり上がり、部屋に入り、ゆっくりとノブを回し、扉を閉める。今日で最後。昨日、こんな自分を変えようと必死に考えた今日の自分は変わらないままだ。長い間、妄想し続けて、抜け出せないまま、今日まで衝動を抑えてきた。目標とゆう現実に向かって頑張っている自分の妄想。もう考えなくて済む。これ以外の方法も考えたが、僕の答えは、これしか思い浮かばないほど、自分を抑える術が見あたらなかっただけだけなんだから。母はやめておこう。うん。さっきの選択は正しかった。おまえ、頑張ったよ、みんな、おつかれさまでした。さようなら。生んでくれてありがとう。あなたの事は一生恨みます。失敗作で、ごめんなさい。矛盾だかけでごめんなさい。ただ、ただ、泣き声が部屋にむなしく響いた…。
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