登校

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  「ってことは、図星か」 そこで漸くオレはタカシの方を振り返った。 「はぁ?意味分かんねぇんですけど。 オレがいつもより早く登校したのは、昨日寝るのが早過ぎて今朝早くに目が覚めたからだから」 オレは内心の動揺を見透かされないように、できるだけ静かに話した、つもりだった。 しかし。 「ふ~ん。早く起きちゃったからかぁ」 …コイツは。 オレは無言で立ち上がり、タカシの首に腕を回して思いっきり締め上げた。 「くっ、苦しいって!ギブ、ギブ!!」 先程の余裕の態度とは一変、タカシは苦痛に顔を歪めて首を締め上げているオレの腕を叩いている。 オレは少し腕の力を抜いてやる。 「さぁて、タカシ君。」 オレは妙に静かな声でタカシに呼び掛けた。 「オレが今日早く登校してしまったのは、何故かな?」 そんなオレの問い掛けに、タカシはボソボソと呟いた。 「今日はバレンタインだから」 ふっ。 オレは優しく微笑んでゆるゆると首を振る。 そして問答無用で腕に力を込めた。 「っマジで苦しいから…っ!!!!!」 再びタカシがオレの腕を叩いてもがき苦しみだす。 「うぅん?さっきは声が小さくて、よく聞こえなかったんだけどなぁ。」 わざとらしくとぼけてみせる。 「…らしくない早寝早起きのせいです」 観念したように、タカシはうなだれた。 「よろしい♪」 オレはその返答に満足し、漸くタカシを解放した。 わざとらしく激しく咳き込んで、タカシは恨みがましくオレを睨んでいるが、全く気にしない。  
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