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「…………え?」
机の中から出て来たそれは、可愛らしい薄いピンク色のふわりとした肌触りのラッピングに包まれていた。
『HAPPY VALENTINE!』
と書かれた赤いハートのシールが包みの真ん中に貼ってあり、手紙らしき封筒を繋ぎ止めている。
オレは不意打ちともいえる出来事に、呆然としていて、最初はそれが何だか分からなかった。
そうしているうちに、唖然としているオレの手から、タカシがヒューと口笛を吹きながら包みを取り上げた。
「これは、もしかしなくても、バレンタインチョコなんじゃないの?ってか、この包みの大きさは本命チョコとみた!」
「──っ!」
その言葉にオレは覚醒して、タカシからピンク色の包みを奪い返した。
──まさか。
まさか
まさか
まさか──!?
──『朝霧アキ』
その名前を思い浮かべて、オレの胸がどくんと高まった。
震える手で、封筒を慎重にシールから剥がした。
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