500人が本棚に入れています
本棚に追加
「おっはよ~!!」
元気な声と共に、ショートカットのさらさらの髪をなびかせて、オレの意中の人・朝霧アキが教室の中に入って来た。
思わず目を惹きつけて止まない快活な雰囲気も、くるくるとよく変わる表情も、いつものままだ。
「あれっ?宮沢、今日は早いじゃん!」
朝霧は驚いたように話し掛けてきた。
「あ?…あぁ、今日は早く起きたから」
心臓のうるさい程の鼓動が朝霧にバレないように祈りながら、オレは朝霧に応えた。
「へぇ~っ、めっずらしー!!」
朝霧はイタズラっぽく目を細めて言った。
くそぅ、可愛すぎるぞ朝霧…っ!!
「ってか、二人仲良いよね!いっつも一緒にいるし」
朝霧はタカシとオレを交互に見遣っている。
「そうそう、俺たち深ぁ~い仲だから☆」
タカシが軽口を叩いてオレと肩を組む。
「やめろ、キモい」
オレはというと、にべもなくタカシの腕を払いのけた。
「うわっ、今日のアサト君、冷たぁ~い!」
なよっとしてタカシが口に両手を当てて泣く振りをした。
「あっはは!キミタチ相変わらず面白いねぇ」
当の朝霧は腹を抱えて爆笑している。
「アキー」
「おー、ユウコー!
あ、んじゃまた後でね」
別の方から朝霧を呼ぶ声がして、朝霧は自分の席に戻ってしまった。
朝霧は友達と楽しげに話しながら机に着席している。
そして手に持っていた半透明な紙袋を机の横に掛けた。
オレの席から丁度その紙袋が目に入るので、当然中をチェックする。
言わずもがな、そこには大量の友チョコが入っていた。
しかし、その中に、明らかに他のモノとは違う青色の包みが入っていた。
再び胸が高鳴り出す。
おそらくあれが本命チョコだろう。
最初のコメントを投稿しよう!