ルミ

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ルミ

その中でも目が止まったのはルミと言う、同い年の高校生だった。 「もう私を愛してくれる人はいないし、大学には事情があって行けないし、もう生きる希望も意味さえもわかりません。良かったら私と一緒に死んでもらえませんか?私には時間がありません。7月6日までに死にたい…」(ルミ 18歳 沖縄県) 同い年であること、心境が似ていたこと、母の名前、琉美子と似ていたことが和海に何か運命的なものを感じさせたのだった。 和海がルミのハンドルネームをクリックすると、メーラーが立ち上がった。 「はじめまして。カズミと言います。ルミさんと同い年の高校3年生です。僕もルミさんとほとんど同じ気持ちです。良かったらメール下さい。」 和海は送信ボタンをクリックすると、顔を見たこともないルミのことを想像したり、母と夏休みに行った沖縄のことを思い出したりていた。 「沖縄のあの海で死ねたら、幸せかもな…」 自然と漏れた言葉だった。 しばらくルミからの返信を待っていたが、和海はいつの間にかデスクに突っ伏したまま眠りこんでいた。
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