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「おいっ…カズ!大丈夫かっ?」
「うるせーっ!」
和海は大急ぎで着替えると、呆然と見送るチームメイト達を押し退けて、部室から飛び出した。
部室の隣にある自転車置き場から自転車を強引に引き抜くと、ボタン式のキーに番号を打ち込む。
いつもは一発で開く鍵が焦っているせいか一向に開かない。
カチッ。
ようやく解錠すると和海は猛スピードで家に向かった。
「母さん…何があったんだよっ!」
いつもは20分ほどかかる家路を赤信号も無視して、汗だくになりながら10分ほどで走破し、和海は家にたどりついた。
自転車を投げ棄てるように飛び降りると玄関へ駆け上がり、ドアを思いっきり開けて叫んだ。
「母さんっ!」
靴を乱暴に脱ぎ捨てると、ダイニングに走った。
バンッ!
ダイニングのドアを開けるとそこには、顔面蒼白で苦痛に歪んだ顔をした母が倒れていた。
「母さんっ!母さんっ!しっかりして!」
和海は母を抱き上げると携帯で救急車を呼んだ。
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