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人の命を奪う。
そんな、汚い事をしてでも俺には、転生する気は無かった。
例えこの、「未練」の、記憶を、奪われても、俺は、新しい「生」を、望む気は無かった。
だから、死神になる覚悟があることを創造主に伝えた。
目の前の神は、悪魔を思わせる冷たい笑みを浮かべ口を開く。
「神の力を得る代価は高い、本当に生きたいと願う人間の、命を奪う覚悟がお前にあるか?」
「ある。」とだけ、短く俺は答え神の目を見る。
神は、次に見下すような目で俺を見た。
その、表情からは笑みは消えていた・・・。
「死神の力をお前にやろう、アージュ。」
神が人指し指を曲げるのと同時に、俺の中から、何かが抜けるのを感じた。
「代価だ。」
神は、そう言うと楽しそうに笑った。
「おめでとう、これで君は、はれて死神だ。もぅ人間ではない!」
そう、言い終えると神は振り返り何処かへ行こうと、歩き出したが、「でも、人間だった!」っと、叫んだ俺の声に、もう一度こちらを向いた。
楽しそうな表情だった・・・「その証拠は何処にもない。」
焦りを感じた。
人間だった事がまるで、無かった事の様に思えた・・・。
震えだした体に気付かないふりをしながら、口を開く。「人間だったと言う事だけは俺は信じる!!」声は、自分でも、分かるくらいに震えていた。
「思うのは、自由だ。」
俺に、背を向け歩き出しながら、神はそう言った。
俺はそれ以上何も言葉にはできなかった・・・。
創造主「フォルベス」と、契約を交したこの日、俺は死神になった。
そして、この日、契約を交す数時間前に、俺は死んだんだ。
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