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ずいぶん奥まで来たとこで、俺は一つの扉の前に立つ。
扉の上に、英文字の『f』を、崩した様な文字が彫られているのを、確認し、二度軽くノックしてから、返事が返って来たのを確認すると、扉を引き、静かに中へと足を進めた。
この部屋も、先程通ってきた部屋ほどではないが、それでも、普通の家の敷地ほどの、広さは優にあった。
部屋の主フォルベスは、俺の姿を見付けると、椅子に座ったまま手招きをした。
その表情は、面白い玩具を見付けた子供にも、似ていて・・・俺は、わざと聞こえるくらいの、舌うちをしてみせた。
フォルベスの座る椅子は、半円系のそう高くない台の上にあり、台にそうように段差をあまり感じない、低い階段が、床へと延びている。
俺は、その階段の数メートル手前に立ち軽く礼をし、顔を上げる。
フォルベスは、赤い毛の間から金色の目を、爛々と輝かせて、椅子の肘掛けに手を預けたまま、足を組む、その動作に、白くぶかぶかで、軽そうな服の生地が、揺れる。
「仕事を伝えよう、アージュ🎵」
その、楽しそうなフォルベスの様子から、ろくな仕事では、無い事を悟り俺は、小さく溜め息をついた・・・・・・。
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