異変

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工房の天井辺りを…―――!!   俺の右腕から放たれた黒い旋風が工房を瓦礫に変えた。   土煙が巻き上がるどさくさに紛れて俺はキドウに逃走経路を書いた地図を渡してから、土煙から飛び出してわざと叫ぶ。   「ちぃっ!密林の方へ行ったぞ!!お前達は船で先回りしてシオンと合流し密林の中を徹底的に探せ!!奴を逃がすなよ!!」   俺の怒号に部下達が慌ただしく村の小さな船着き場の方へ走って行った。   「ふぅ~…部下が単純で良かったねぇ、この大根役者」   土煙から咳き込みながら顔を見せた婆さんがにっこりと笑う。   「そう言うなよ、殺陣は完璧だったろ?」   「台詞は胡散臭いが…まぁ、あんたとしてはまずまずだねぇ」   手厳しいな。   頭を掻いて苦笑いをするしかないが…まぁ、目的は果たしたからよしとしようか。   「しかし…悪かったな、婆ちゃんの工房はキッチリ直すからもうちょい俺の演技に付き合ってくれよ」   婆さんにそう謝罪していると、俺に向かって怒りを露にして顔を真っ赤にした船大工の親方が走って来る姿が見えた。
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