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「エルガー!!」
言葉と共に拳が飛んで来る。
気が付くと俺は瓦礫に吹っ飛ばされていた。
「ワシは…ワシはお前という奴を心底見損なったわい!!」
「わりぃが…謝罪する気はないぜ、現に奴はこの工房に居たんだからな…」
空を見上げる状態のままで俺は船大工の親方に言った。
親方には悪いが、今は俺が完全に竜撃兵団の一員だと思ってもらわないとならない。
親方の性格を考えると、間違いなく婆さんみたいに上手くはぐらかす…という器用な真似は出来ないからだ。
瓦礫から体を起こして俺は婆さんと親方を見ずに通り過ぎた。
口の中切れたか…鉄の味になっちまった。
しかし…キドウは上手く逃げたかな…アイツは色んな意味で逆境を引き寄せるみたいだからなぁ…。
て、このザマじゃ俺も人の事は言えねぇか…
今の状況に俺は苦笑しながら口元の血を拭った。
その後ろで婆さんになだめられている親方が、俺に何かを叫び続けていた…―――
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