98人が本棚に入れています
本棚に追加
逃走経路の地図を受け取った俺は、エルガーの放った黒い旋風のどさくさに紛れて相棒と共に村を脱出した。
「…が、なんてざっくばらんな地図をよこしたもんかね…」
相棒を走らせながら俺は地図を開いた。
地図には竜撃兵団配置図と銘打たれ、地図の砂漠と密林、そして火山と雪山に『×』が記されていた。
…つまり比較的安全な場所は森丘と、そのさらに奥にある(ここから向かうなら、だが)樹海、後は秘境と言われる塔くらいなものだが…。
「とりあえず樹海に付いてる○を探すか」
そう、この地図にはもうひとつ『〇』の印も記されていた。
それが樹海なんだが…
樹海というのは森よか広いから樹海と呼ばれるんだと思うが、この地図には樹海という名の左端に○が付けられているだけだった。
「蹴散らして逃げた方が早かったんじゃないのか…キドウ?」
相棒の言葉に俺は首を横に振った。
「まぁ、やれば出来たかも知れないが…あの場でエルガーがシオンって言ったか?あの女ハンターを遠ざけてなければどちらにしても不味かったな…」
最初のコメントを投稿しよう!