迷走

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「ほう…」   相棒が珍しげに唸る。   「エルガーも強いけど多分、あのシオンってのも相当やるぜ…2対1ならヤバかったな…」   それにエルガーと俺の死闘と見せかけたあの『殺陣』も、あの女ハンターが居たならアッサリ看破されていた筈だ。   アイツの聞き込みを見た限り、冷静にああいう事を出来る奴は大抵勘が鋭い。   名参謀、というよりあれはエルガーに対するお目付け役…といった感じだったな。   俺がそんな事を考えていると、森丘まで一気に駆け抜けた相棒が立ち止まって荒々しく息を吐いた。   走りっぱなしだったからな…かなり疲れさせちまったな。   「ち…ちょっと…休憩…させて…くれ」   「すまんな、相棒、ゆっくり休んで…と言いたいが、どうやら食事と水を飲む時間しか無さそうだぜ」   「マジか…哭けるぜ」   愚痴りながらいななく相棒も、森丘一帯に広がって来る殺気に表情を硬くした。   元々硬い表情な気もするが…   「ほっとけ」   「あらら…ま、まぁ俺が時間を稼ぐから休んで居てくれ、俺は…そうだな…20分後にはここに戻って来るよ」    俺はそう告げると、一番殺気の『濃い』場所へ向かった…
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