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「…気配と殺気から察するに…一人なのか?」
或いは一頭か?
しかし空の王者と言う異名を持つあの竜でさえ、ここまで広範囲に殺気を振り撒いたりはしないよな。
考えを巡らせながら俺は慎重に殺気の発生源に近付いた。
ここは…いつもなら山菜好きの爺さんがいる場所だ。
厄介だな。
あのエリアは狭いし隠れて様子見なんて出来ないぞ…
それに…この殺気、こんな規模で殺気を放つ生物といったら黒龍くらいしか無い…となれば当然この奥のエリアに収まるサイズじゃない筈だ。
「後はもう竜撃兵団しかねぇよな…やっぱり」
ちょっとは加減しろよ…
多少うんざりしながら俺は奥のエリアに足を踏み入れた。
そこには黒龍の鎧を纏った男が佇んで居た。
「少し殺気を抑えちゃどうよ…他の生き物に悪影響だぜ」
「フ…すまんな、これでも抑えてはいるんだが…なるほど、お前がキドウか…私はシュレイゼ、竜撃兵団の団長をしている」
発する言葉と共に、俺とシュレイゼの間では必殺の殺気が放たれ交錯していた。
「お決まりの台詞だけど一応言っとく、護衛も無しに団長自らお出ましとは…随分舐められたもんだな」
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