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「見逃す…と、受け取っていいのかな…それは…?」
俺の質問に「言葉通りだ」と、背を向けたままでシュレイゼが短く答えた。
「早く行け、気が変わらんうちにな…」
シュレイゼは俺に背を向けたままで、そう言葉を続けた。
有り難いやら情けないやらだが、ここは大人しく退くべきだ…と俺の勘が告げている。
先程も考えたが、今、シュレイゼと一戦交えて勝てるとは…どうしても思えない。
シュレイゼ自体の強さもある、が、奴の持っているあの『剣』から出される禍々しい殺気と、それを受けながら平然としていられる自分に違和感があったからでもある。
触らぬ神になんとやらだ。
ハンターの鉄則ともいえるが、敵に対する冷静な分析は狩りに於いての必須事項だ、しかしソロハンターの俺は経験から来る勘というやつも、かなり大事にしている。
そして、残念ながら俺の勘は危険な時だけ良く当たるんだ。
以上の事から考えても、退いた方が絶対に安全だからな。
俺はシュレイゼの背中を注視したままでエリアから抜け出した…
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