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1年前…
「シュレイゼ様…」
バルコニーから薄暗い空を見上げる黒龍の鎧を纏う男の背後に、音もなく人影が現れた。
「フォグか…」
「はい、ご報告します…水竜のジルダが敗れました」
「…ジルダが負けたか、あのハンターは?」
「封鎖した密林での実験により、どうやら数ヶ月分の記憶を無くした様です…いかが致しましょう?」
「ならば奴は放っておけ、それよりも例の計画を急げ…手筈通りにな…抜かるなよ」
「――――…承知しました」
「…行け」
シュレイゼの言葉に短く返事を返したフォグが、再び音もなく姿を消した。
「クックック…遂に…刻が…満ちる、待ちに待った刻が…」
雲の間から稲光が覗き、シュレイゼを照らす。
「古き時代の終焉と、我が時代の幕開けが聞こえる―――」
照らされたシュレイゼの姿が不気味な光を放ち始め、背負っている剣が共鳴するかの様に震え始める。
「クックック…ハァッハッハッハッハ――――!!」
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