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じゃあ何か?
運が悪かったのか、俺。
「ホレ、噂をすれば…竜撃兵団の御一行じゃないかね」
婆さんが金槌で指した方向に、いかにもそれらしい上位装備で身を固めた一団が、この村の船大工が作り上げた大型船舶・親方号から降りてきた。
こいつらが竜撃兵団か…
竜撃兵団の一行が、この村専属のハンターを押し退ける様に酒場に詰め掛けた。
「人に擬態する新たな変異種が確認された、ギルドとしてはこの事態を重く…」
俺が聞耳を立てていると、婆さんが隣に来て俺の防具を軽く小突き出した。
「工房の裏から村を出な…多分、お前さんの事を言ってるよ…武器は工房の中にあるから、それを持って早く行きな。」
小声で俺にそう告げた婆さんが工房の扉を開ける、その時、酒場に居た竜撃兵団の何人かが工房を見上げた。
婆さんがわざとらしく体操を始めると、見ていた奴らは酒場の店員に視線を戻した。
奴らが見上げる直前に俺は身を隠していた。
追われる理由は無いが…つい。
「どうよ、婆さん」
「うむ…やっぱりお前さんの事だね、密林から我々以外に尋ねてきたハンターはいるか?といっとるよ…」
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