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「そういえば母さん。遅刻するって言ってたけど、何に遅刻するってんだよ!」
そう。ヒロは学生ではない。
というかまず、この世界に学校は存在しない。
この世界――今我々の生きている世界の裏に存在する世界。
いつしかここは『HIROBA』と呼ばれるようになった。
人々は自由気ままに暮らし、のんびりと生活していた。
「遅刻するのよ。あなたも、そして私も」
プリンを食べ終えたリョウから、いつもののんびりした声が消え、堅い声で言い放つ。
「え?」
意味がわからず、混乱するヒロ。
「神父さまの元へ行くわよ」
リョウは瓦礫を超え、さっさと歩き始めた。
「え?あ、ちょっと!」
ヒロは慌てて付いていく。
そんな様子を影から見つめる者がいた。
「フフフ……動いたか。女神!」
リョウを見て言い放つこの男。
赤い角に黒いウェーブのかかった髪。
彼は一体何なのだろうか。
ただのストーカーなのだろうか。
多分そうかもしれない。
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