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「そうか……そうだったのね……」
しかも何やらぶつぶつと呟いています。
本当に怖いです。
彼女もとうとうおかしくなりましたか……哀れ。
「何ですか? 僕を罵倒しに来たんですか?」
軽い冗談のつもりで聞いたのに、
「……なわけないでしょ、このすっとこどっこい。どうやったらそう見えるのよ、バカじゃないの」
軽く罵倒されました。ひどいや。
罵り終えた彼女はあらぬ方向を見上げ、
「もっと早くこの本に出会えたらと思ってさ……あー、早いうちに対策取っておけば良かったわぁ。怠惰は罪よ、罪。本当に。……いや、ううん、結局は変わらなかったのかもしれない」
何をおっしゃっているのか、またはおっしゃりたいのか、全くもって分かりません。
「まぁいいや。これでアタシ達の気持ちを知ってくれたらいいわ」
「え? あ、あの」
その言葉の意味を聞こうとしたら、授業の開始を知らせるチャイムが鳴り響きました。
「やべ、先生来たわぁ」
まったく意味の分からないことを述べていた少女は、さっさと席に戻ってしまいました。
……うーん、今の言動を見る限り……彼女も取り付かれていたってことでしょうか。
「取り付くとは失敬な。ともかく、聞いてみたらどうだ?」
……忘れていなければ。
なんやかんやで授業は始まります。
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